第30回(2007年)日本分子生物学会年会 杉野英彦
大阪大学大学院生命機能研究科
α-アミラーゼ、コピーナンバーバリエーション(CNV)、脊椎動物、進化

1P-0581 (1T4-12)

脊椎動物におけるα-アミラーゼ遺伝子のコピー数の多様性
○杉野英彦
(大阪大学・大学院・生命機能研究科)

 炭水化物は生物の主要な栄養源である。その中でグルコースは、脊椎動物の脳のエネルギー源としてきわめて重要な炭水化物である。α-アミラーゼは炭水化物質のゲリコシド結合を加水分解することで、マルトースやグルコースを生成する酵素であり,炭水化物分解酵素の申でも最も重要な酵素のひとつである。α-アミラーゼのゲノム構迪は,真核生物ではヒトとハエで・は詳細に解析されているが。他の生物ではほとんど解析されていない。そこで我々は,Data baseから脊椎動物であるヒト、チンパンジー、アカゲザル、マウス、ラット、イヌ(哺乳類)、オポッサム(有袋類)、ニワトリ(鳥類)、ゼブラフィッシュ、フグ(魚類)、ニシツメガエル(両生類)のα-アミラーゼのゲノム構造を抽出し比較ゲノム解析を行った。アミノ酸のヒトとニシツメガエルの間でも78%と高く、エキソンの構成もフグ以外完全に一致していた。興味深いことに、各生物間でのα-アミラーゼの遺伝数(コピー数)には大きな違いがあった。同じげっ歯類でもラットは3個、マウスは6個である(Sugino H., 2007) 。霊長類でもアカゲザルは2個、チンパンジーは3個、ヒトは5個である。これの-アミラーゼ遺伝子群は多くの場合同一染色体上で縦列重複により増幅している。一方、他の炭水化物分解酵素、マルターゼ(GAA)、β-ガラクトシターゼ(GLB1)や炭水化物代謝酵素シュークロースイソマルターゼ(SI) 、マルトースグルコアミラーゼ(MGAM)等は、いずれの生物でもゲノム上の一つしか存在していなかった。こうした近い生物種間で数が異なる遺伝子には、嗅覚受容体遺伝子(OR gene)等が報告されている。いずれの遺伝子も環境に適応するため、コピー数が増減したと考えられる。そこで-アミラーゼ遺伝子の生物種間でのコピー数の違いが、環境に適応するために発生したのか否かについて論じる

参考文献
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17223109

Abstract
FEBS Lett. 2007 Feb 6;581(3):355-60. Epub 2007 Jan 16.
Comparative genomic analysis of the mouse and rat amylase multigene family.
Sugino H(杉野英彦)1.

Author information
1Laboratories for Integrated Biology, Graduate School of Frontier Biosciences, Osaka University, 1-3 Suita, Osaka 565-0871, Japan.

The rat and mouse amylase gene families were characterized using sequence data from the UCSC genome assembly. We found that the rat genome contains one amylase-1 and two amylase-2 genes, lying close to one another on the same chromosome. Detailed analysis revealed at least six additional amylase pseudogenes in the rat genome in the region adjacent to the amylase-2 genes. In contrast, the mouse has one amylase-1 gene and five amylase-2 genes; the latter are tandemly and systematically arranged on the same chromosome and were generated by segmental duplication. Detailed analysis revealed that the mouse has two amylasepseudogenes, located 5′ to the five amylase-2 segments. Thus, the amylase genes of mouse and rat tend to be amplified; the sequences of some of them are fixed while others have become pseudogenes during evolution. This is the second report of amylasegenomic organization in mammals and the first in the rodents.

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